「文藝春秋」6月号にわが国の安全保障を巡る
座談会が載っている。その中からいくつかの発言を紹介しよう。「ロシアの核の脅威を前に引き下がってしまった
アメリカへの信頼が揺らいでいる部分はありますね。
今回のように核保有国が戦争を仕掛けてきた場合、
アメリカでさえ、そう簡単に戦争に踏み込めないことがはっきりした。
日本の安全保障関係者の間では、
『いざという時にアメリカは助けに来てくれないのではないか』
との疑念が強まっています」(自衛隊元陸将の山下裕貴氏)「北朝鮮は、ウクライナ侵略を見て自信を深めています。
自分たちが進めてきた核・ミサイル開発路線は正しかったのだと。
…(ウクライナは)1990年代、核保有国でしたが、
アメリカ、ロシア、イギリスが領土の安全を保障する代わりに、
核を全放棄しました。
その結果、一夜にして大国に蹂躙されてしまった。
金正恩は、国家の尊厳と生存を守るのは強力な軍事力しかない
との確信をますます強めています。
大国から国家の安全を保障されても、後で簡単に覆されてしまう、と。
さらにアメリカはロシアの核使用を恐れて、
早々と紛争不介入の意向すら表明した。
北朝鮮が今後、核・ミサイル開発を中断、放棄することはないでしょう」
(国連安全保障理事会・北朝鮮制裁委員会・専門家パネル
元委員の古川勝久氏)「(中国の)人民解放軍が日本と事を構えようとすれば、
尖閣なり沖縄の離島を本気で奪おうとしてくるわけです。
海・空だけで防ぎきれず、上陸されることも覚悟しなければならない。
…ところが、この30年間で戦車は千二百両から三百両に、
火砲は千門から三百門に減らされました。
陸自(陸上自衛隊)はほとんど骨と皮だけ
と言ってもいい状態です」(山下氏)「現在、中国に進出している日本企業は
一万三千社を越えますが、少なからぬ現地法人が社内に
(共産)党委員会を設置されられている。
つまり共産党政権に取り込まれているわけです」
(東北大学大学院教授の阿南友亮氏)【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/
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